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IMG_4523.JPG現在のRickenbackerの生産ファクトリーとオフィスは、USAカリフォルニア州サンタアナにある。


ロサンジェルス国際空港から、405号線で南東方向にサンディエゴ・フリーウェイでおよそ1時間弱、Orange Countyの傍ら。ジョンウェイン空港や、美しい海岸で有名なラグーナビーチにも程近い距離に位置する。


カリフォルニアの乾いた風と、高く強い日差しが降り注ぐ、豊かで温暖な気候に恵まれた静かな街である。


IMG_4508.JPG現在の最高責任者John Hallの父であるF.C.Hallが、1964年にこの土地に工場を移してから約50年余り。


近代的な設備と昔ながらの工法が共存するRickenbackerファクトリーに入ると、創始者Adolph Rickenbackerの写真が大きく飾られ、その奥にはJohn Hallの妻Cindaleeがオフィスで迎える。


70人余りのクラフトマン・工員が日々働くオフィスとファクトリーの扉がここにある。


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現在のRickenbackerファクトリーでは、メイプル材、ローズウッド材、ウォルナット材、ブビンガ材など生産で使用される主要木材が、生産スケジュールに合わせて巨大なブロック材の状態でストックされている。


使われる部位によって様々なサイズにラフカットされる次工程までには、この巨大な状態で管理さてれているが、外部の著しく乾燥した空気に細心の注意が払われている。


昼間のカリフォルニア州の湿度は、通常20~30%という非常に乾燥した空気になってしまうため、ファクトリー内では、あらゆるエリアの天井に取り付けられたエアダクトによって、外部の乾燥した空気に影響をうけないよう湿度を保ち続けている。

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ラフカットされた木材は、セットネックモデルの場合、大きくはボディ材・ネック材に分けられ、4~5台の稼働可能なNCルーターによって本格的にルーティングや削出の工程に進み、Rickenbackerのスタイリッシュなボディや、ウォルナットをサンドした3ピースネックの原型をなしていく。


スルーネックモデルの場合は、ボディエンドまである長い2ピースネック部分と、両側に張り合わせられるボディ材が、同様にNCルーターによって削り出されることになる。


330や360のようなセミアコ構造のボディ形状の場合、まず第一段階として、センターマッチングされたメイプルボディの裏側から、プログラミングされたNCルーターによって、セミアコースティック構造のホロウボディに削り出され、この際にサウンドホールや、ピックガード下の配線関係のルーティングも同時に削られる。


その後に、そのボデイにセンターマッチングのメイプルバック材が、裏側から蓋をするように張り合わせられることになる。


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概ねのボディ形状をなしたボディ加工部分は、ベルトサンダーによって、木バリや表面的な粗さが削り取られ、研磨のファーストプロセスとして、なめらかな処理をなされていく。


スルーネックモデルの場合も、同様に工程が進み、ネック材とボディウイング材の張り合わせの後、概ねのサンディング工程を済ませていく。


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フィンガーボードのプロセスでは、ローズウッドを中心とする木材がカットされ、Rickenbackerモデルの象徴の一つと云えるトライアングルやドット等、それぞれのモデルに併せたポジションマークが埋められていく。


その後、フィンガーボードは、古くから使用されているボンドの塗布マシーンによって、ネック材としっかり接着され、クランプによる乾燥を経て、本格的にセット前の状態となっていく。


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ネックへの接着が完了したフィンガーボードには、モデルによってはバインディングが装飾され、フィンガーボードに削られたフレットスペースへ、熟練したクラフトマンによってフレットワイヤーが正確に打ち込まれる。

そして、サイド部分に突出したフレットワイヤーの研磨や磨き上げの後、ボディへのジョイントを待つネック状態として、いよいよ完成していく。


ボディとネックのセット工程では、微妙に研磨調整を繰り返しながら、最終的に接着材によりしっかりと固定されていく。このあたりの木工加工や組み立ての捉え方は、立体的な木工加工に優れた、まさにアメリカ製楽器ならではといえる部分である。


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木工部分の丁寧な生地研磨の後、また一歩完成に近づいたモデル達は、いよいよ彩りを与えられるべく、塗装プロセスへと進んでいき、本格的なカラーを纏っていく。


現在のRickenbackerモデルは、ヴィニール系の下地層の後、ポリウレタン系のカラーコートとポリエステル系のトップコートの組み合わせによる塗装が施されている。


これは、カリフォルニア州の一層厳しくなる環境規制に対応するための工場としての使命と、より美しい塗装を目的とし今までの生産環境とより優れた塗装環境を両立するための、Rickenbackerの塗装に対する揺るぎない考えである。


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ドライニングが終わり、最終的な研磨を繰り返し済ませた本体は、ハードウェアの取付エリアに進み、ブリッジ・テールピース・ペグなどの主要な金属パーツの搭載、ピックガードなどのプラスティックパーツ、ピックアップ・コントロール関係の配線周りの取付へと進んでいく。ちなみにピックアップは今でも工場内でのワイヤリングによって自社製作している

シリアルナンバーは、古えから使用されているマシーンによってジャックプレートへと打刻され、製造番号を与えられたギター・ベースたちは、最終検品スペースへと進む。

ストリングナットや弦のセットアップを終えて、アンプの置かれたプレイヤビリティルームのチェックを通過したギター・ベースには、最終的な証のRickenbackerロゴのトラスロッドプレートが取り付けられる。


こうして、数々の生産プロセスと多くの工員の手によって完成したモデル達は、永く続くRICファクトリーの歴史や想いを乗せて、世界各国のRickenbackerを待ち望む音の世界へと旅立っていく。